![江戸文字が描かれた提灯や千社札](https://karuta-japan.com/articles/edomoji/img/karuta_edomoji_2.jpg)
日本特有の文化を感じさせる字体
江戸時代、提灯やお店の看板、千社札などあらゆる場面で使われていた江戸文字。
極太線の強烈なインパクトと勢いのある筆致が織りなす味わい深さは、いかにも「日本特有の文化」を感じさせます。
〜伝統技法〜
Traditional technique
江戸時代、提灯やお店の看板、千社札などあらゆる場面で使われていた江戸文字。
極太線の強烈なインパクトと勢いのある筆致が織りなす味わい深さは、いかにも「日本特有の文化」を感じさせます。
江戸文字のルーツは徳川幕府の公文書に使われた「御家流(おいえりゅう)」といわれています。
この公用文字がいつしか庶民へと伝わり、職種ごとに独自の発展を遂げたと言われます。
歌舞伎で有名な勘亭流や、浄瑠璃で使われた浄瑠璃文字。相撲の番付表などでみられる相撲文字や落語の寄席用のビラ字(ビラ=チラシ)などがあり、これらを総称して江戸文字といいます。
文字の形にも独自性をもたせて遊んでしまうところに、江戸っ子の粋を感じさせます。
※発祥やいわれには諸説あります
今回、江戸文字体験させていただいたのは、昭和6年より築地でのれん、提灯のお店を営んでいらっしゃる、老舗「津多屋商店」の3代目・加藤木さん。
江戸文字の歴史から成り立ちなど色々とお話をしていただきました。質問をするとなんでも答えてくれる親しみやすい職人さんです。
お店にはのれんや提灯、半纏(はんてん)から、昔、築地市場に乗り入れていた鉄道「とびうお号」の模型など、江戸文字と築地への愛が満載です。
実は加藤木さんは、あの有名牛丼チェーンの提灯や半纏(はんてん)の文字をはじめ、有名演歌歌手・アーティストの楽屋のれんのお仕事も手がける職人さん。
私達が何気なくみている景色の中に、江戸文字の伝統がいきていることを実感できます。
江戸文字の特徴は線が太く隙間がないこと。これは「お店がお客さんで一杯になるように」という縁起をかついで、 なるべく隙間を少なく、黒い部分を太くし、満席を祈願したといわれます。
うなぎやさんやお寿司屋さんで見るこの江戸文字。たまに「うふぎ」のような文字をみると思いますが、
あの「ふ」のような文字、実は奈良県の「奈」という文字です。
これは「変体仮名」といわれるもので、当時の江戸では変体仮名が使われていました。
今では読み方もわかりませんが、当時は子供も読めたといいます。江戸文字を楽しむには変体仮名を知ることが大切です。
この文字、なんと書いてあるかわかりますか?これは「紫」という字です。
四角の中で文字を表現する角文字は知っていないと全く読めません。
しかし、そこが粋。ただの図案にみえるものが、実は自身の名字であるなど、読めた時の達成感はひとしおです。
こちらは、まるで牡丹の用な波線が特徴的な牡丹文字。資料になんと書いてあるかおわかりでしょうか?、 左が「壽(ことぶき)」、右が「福」ですね!
この写真はなんと書いてあるでしょう?ヒントは「人の名字」です。答えは写真の下に記載しています。
一斗二升五合 これはなんと読むでしょう?
答えは「御商売 益々 繁盛」
一斗、二升、五合というのは、単位です。
■一斗(御商売)
一斗は現在で言うと約18リットル。五升は約9リットルなので、一斗を読み替えると五升の倍、つまり「御商売」。
■二升(ますます)
二升(ますます)は、升が2つなので、「益々」。
■五合(繁盛)
5合は約0.9リットルで、1升の半分(約1.8リットル)なので、「はんじょう」から「繁盛」
何にでも遊びを取り入れる心意気と、「読める人だけ読めればいい」という尖ったスタイルが魅力です。
さぁ、はじめよう!
この体験では、自分の書いた文字をぽち袋か、千社札ステッカーにしてくれます。 私はステッカー貼りたいマンなので、迷わずステッカーを。 一緒に体験をしてくれた、しげさんはぽち袋、マキさんはステッカーをチョイス。
次に書く文字を決めるのですが、バランス的に3文字くらいがよさそうです。事前に何を書くか決めておくとよいです。
どのような文字にするか加藤木さんに相談すると、変体仮名をもちいたものや一筆書きのものなど、色々な文字を提案していただけます。
私は「かるた」を変体仮名でアレンジしてもらい「か留多」と書くことにしました。
※体験は江戸文字のみとなります
文字を決めると、加藤木さんがお手本を書いてくれます。ササッと筆が滑り、すでに全体像が見えているかのように、どんどん文字が浮き上がってきます。
「実は難しいのに、傍から見ると簡単そうに見える」のはプロなればこそ。
次の工程で、そのことを実感しました。
加藤木さんのお手本を横に置き、真似をして書いていきますが、「書く」より「描く」という表現のほうが近い気がします。
「文字の左を若干細く、右を太く書くと格好良くみえる」という「加藤木さんの教え」も取り入れつつ筆を進めますが、これがなかなか美しくいかない。
すでに描かれたものを真似るだけなのですが、同じものを書いているのにバランスが難しいんです。文字が下手な私はなおさらでした。
ここで誰しもが思うでしょう。「お手本をトレースしたい」と。
加藤木さんにチェックをしてもらいながら微修正を加えます。 前述したとおり縁起が良い文字になるように、なるべく隙間はあけないよう調整しますが、 無理に隙間を埋めようとすると文字全体のバランスもおかしくなります。 まるで商売と同じ。バランスって大事。
なんとか縁起もよさそうな文字に仕上がりました。加藤木さんに少し修正をしてもらい、原稿をわたします。
あとはぽち袋かステッカーになって配送してもらえますので、到着を待つだけ。
届いたステッカーがこちら!自分が描いたと思うと、感動もひとしおです!
文字がド下手な私ですが、ものすごく楽しめました。文字自体が格好良いので、表札などにも映えそうです。
また、老舗蕎麦屋さんやうなぎやさんに言った際に、変体仮名を読み解く楽しみも覚えました。
普段の生活の中では中々味わえない一文字一文字を手書きで仕上げる過程や、文字の中にちょっとしたアイディアを詰め込む楽しみは、特別な体験でした。
かるたJapanのオススメは、江戸文字体験をしたあと、江戸手描提灯体験に行くルート。インパクトバツグンの江戸文字を、ぜひ体験してみてください!